「前向き脳」の作り方 はじめに
私は、本書を通して初めて世間にカミングアウトすることがあります。
それは、中学から高校にかけて「引きこもり」だったということです。
「あの吉田たかよしが、よりによって引きこもり?信じられない!」
打ち明けると、ほとんどの方が驚かれます。
それも無理のないことでしょう。
NHKアナウンサー、医師、それに加藤紘一元自民党幹事長の公設第一秘書…。
私は、思いっきり前向きな発想で、これまでさまざまな職業にチャレンジしてきました。現在も、本郷赤門前クリニックの院長や東京理科大学の客員教授の傍ら、テレビやラジオにも積極的に出演しています。
世間から見れば、私は引きこもりの対極にあるような人物像なのでしょう。
そんな私も、「引きこもり」が最もひどかった時期には、自宅の部屋から一歩も外へ出られなかったのです。
昼夜が逆転…。
毎日、ベッドでゴロゴロしているだけ…。
もちろん、学校の成績も落第寸前でした。暗いトンネルから抜け出すことができず、私は絶望の未来しか描けなかったのです。
ところが、高校2年の夏、ある経験をきっかけに、私は前向きな性格へと劇的に変身を遂げました。
このときの心境は、地中をはいずり回っていたセミの幼虫が、脱皮して成虫になり、大空へと羽ばたいているかのようでした。
「前向きな気持ちって、こんなに素敵なのだ・・・」
私は心の底から、「前向き脳」の心地よさをかみしめていたのです。
これをきっかけに、私は、それまでの後ろ向きの性格がウソのように、興味を持ったことに積極的に挑戦できるようになりました。
こうした経験を踏まえ、私は、クリニックの中に「前向き脳」になるためのカウンセリングのコースを設けることにしました。
折しも、臨床医学や脳科学の分野では、心を前向きにするのに役立つ研究論文が続々と発表されています。
このような最新の科学的成果を取り入れ、受験や仕事で成功を勝ち取るためのプログラムを完成させたのです。
しかし、カウンセリングは時間がかかるため、直接、私が問診できる人数には限りがあります。
もっと多くの方に「前向き脳」を手に入れていただきたい…。そんな思いから、本書の執筆を決意しました。
本書を手にした今この瞬間から、あなたの人生は大きく変ろうとしています。
さあ、ほんの少し勇気を出して、本書とともに前向きな人に変身する第一歩を踏み出してください。
東京理科大学客員教授 吉田たかよし