一言でいうと…
コロナ収束の5つのシナリオ紹介し、検討します!
①完全にウイルスを封じ込めて終結するシナリオ
代表例:天然痘ウイルスの撲滅
不顕性感染が多い新型コロナウイルスでは不可能。
②気温が上がって感染に歯止めがかかるシナリオ
代表例:SARS
新型コロナウイルスは気温に影響されにくいので、ほぼ無理。
③ウイルスの遺伝子が変異し、病原性が弱まって終結するシナリオ
代表例:2009年の新型インフルエンザ
新型コロナウイルスはすでに遺伝子変異が生じているが、病原性は変わっていないので、可能性は薄い。
④人口の60%が感染して終結するシナリオ。
イギリスは当初、このシナリオで終結さそうとしたが、死者数が多く、方針転換。
⑤ワクチンの開発
現実的にはこれしかない。
従来型は1年半はかかるが、多くの研究者が参入。
それでも、東京オリンピックは間に合ってもギリギリ。
私は、苦渋の選択だが、はじめから2年延長すべきだったと考える!
毎週、水曜日の文化放送「SAKIDORI」と、木曜のFM「ハッピーモーニング」
2020年3月25日と26日にお話した内容から一部を抜粋して、ご紹介しています。
東京オリンピックを1年程度、延期することが決まりましたね。
それで感染の収束は間に合うのか、疑問に感じている方が多いと思います。
新型コロナウイルスの感染は、いつ、どのように終結していくのか・・・。
ウイルス感染収束の5つのシナリオをご紹介しますので、検討していきましょう。
①完全にウイルスを封じ込めて終結するシナリオ
まず、完全にウイルスを封じ込めて終結するシナリオ。
代表的なのは、天然痘ウイルスの場合です。
現在、アメリカとロシア、それぞれ一箇所の研究施設で保管されている以外、地球上にウイルスは存在しません。
撲滅できた理由は、感染すると、死亡率が最大50%で、極めて毒性は高いが、
確実に症状が出るので、感染の把握は簡単にできたわけです。
新型コロナウイルスは、症状が出ない不顕性感染が多いので、このシナリオでの終結は、ほぼ無理ですね。
②気温が上がって感染に歯止めがかかるシナリオ
2つ目のシナリオは、気温が上がって温暖になることで、感染に歯止めがかかってくるシナリオですが、
代表例はSARSです。
4月5月と気温が上がり、だんだん感染しにくくなって、最終的には7月に封じ込めに成功しました。
新型コロナウイルスは同じコロナウイルなので、当初は、このシナリオになるという予測があったんですね。
でも、環境と感染力の関係を分析した研究では、気温はあまり関係ないというデータが出てきているんです。
実際、ヨーロッパでは、寒い北部より、イタリア・スペインといった温暖な南部で感染が広がっていますね。
暖かくなったら自然に集結するというシナリオも、ほとんど期待できないです。
③ウイルスの遺伝子が変異し、病原性が弱まって終結するシナリオ
3つ目は、最近、見つかったシナリオで、ウイルスの遺伝子が徐々に変異して、病原性が弱まって終結するということ。
2009年に、当時、新型インフルエンザと呼ばれた流行は、これで収束したことが、最近、わかってきたんです。
現在では、普通の季節性インフルエンザの一つになっていて、
今でも、年々、病原性が弱くなっていて、何年がたったら、なくなる病気だという予測もあるくらいです。
ウイルスは、感染力についてはより感染しやすい方向に変異しやすいが、病原性は弱まる方向に変異しやすいんです。
なぜかと言うと、ウイルスにとってみれば、感染力が高いと子孫がたくさん増えるのは当然ですが、
病原性については、重い症状が出ないほうが、人間が元気に歩き回って、たくさんの人に移してもらえるわけです。
実際、新型コロナウイルスについても、こうした遺伝子変異は起きているんです。
現在、S型とL型という2種類の新型コロナウイルスが流行しています。
S型は元々コウモリに感染していたウイルスの遺伝子に近いので、こちらが大本です。
その遺伝子が変異して、後から生まれたのがL型だと考えられているんですね。
やっぱり感染力はL型が強く、感染者数はS型が3割、L型が7割。
ただ、病原性が弱まっているという傾向は見つかっておらず、このシナリオでの早期の終結も考えにくいですね。
④人口の60%が感染して終結するシナリオ。
最悪なのが4つ目のシナリオで、どんどん流行が拡大して、人口の60%が感染するシナリオ。
そうすると、60%の人が免疫を獲得するわけなので、その後は、感染が自然に収束して行くんですね。
イギリスは、当初、このシナリオで終結さそうとして、わざと厳しい感染対策を取らなかったんですね。
でも、収束までに多くの人が死亡することがわかってきて、慌てて方針を転換しました。
⑤ワクチンの開発
ということで、現実的には、残る5番目のシナリオ、ワクチンしかないと思いますね。
ワクチンは、一般的には、開発までどんなに急いでも1年半はかかると言われています。
でも、私は、それよりは早い可能性は十分あると見ているんです。
今、多くの研究者がそれまでやっていた研究を中断し、ワクチン開発に関連した研究に乗り出しているんですね。
実際、私のかつての同僚も、急遽、関連する研究に切り替えました。
早期に実用化に成功したら、ノーベル賞は間違いないということで、不眠不休で取り組んでいるんです。
ただ、開発されても、ワクチンを大量生産するのに、3ヶ月はかかるでしょうね。
東京オリンピックは、1年延期しても、間に合ってギリギリ。
かなり厳しいですね。
私は、苦渋の選択ではありますが、はじめから2年延長すべきだったと思うんですけど・・・。